ご挨拶

顎顔面矯正学は、成長発育異常や各種先天異常に起因した歯、咬合、顎骨および顔面の不調和に対して歯科矯正学はもとより、他の関連臨床分野とともに総合的な治療計画に基づいて形態的、機能的な口腔環境の不調和を除去し、限りなく健常な状態に近付けるための臨床歯学の一分野です。顎顔面矯正学における研究は、これらの不調和が起る原因の解明と予防法の確立、患者の診断や治療法の改良、開発を目的としています。近年の顎骨手術や骨延長治療などを併用した顎顔面矯正治療の進歩により、従来は矯正治療の対象となり得なかった上下顎の不調和や各種先天異常に伴う重篤な不正咬合に対して、咬み合せの改善や咬合の再建を図ることが可能となってきました。しかしながら未だ病態が不明で治療法が確立できない疾患も数多く存在し、先天異常や成長発育異常の原因や予防についてはようやく研究の端緒についたばかりです。顎変形症や先天異常の矯正治療への保険治療の導入で、顎顔面矯正治療による咬合の改善を希望される患者は今後一層増加するものと考えられます。私たちはこれらの患者の皆様の期待に答えることを社会的使命と捉え、顎顔面矯正学の一層の発展に寄与すべく研究に邁進する所存です。

教授 森山啓司

分野概要

当分野は矯正歯科外来において、歯並び、咬み合わせを主訴とするあらゆる症例を対象として治療を行っています。特に、顎変形症や口唇裂・口蓋裂をはじめとした先天異常に伴う不正咬合の治療については、我が国でも有数の症例数を誇っております。多くの臨床経験に基づく豊富な専門知識と治療技術によって、それぞれの患者さんに合った最適の治療法を選択していただくことが可能です。
また当分野における研究は、顎顔面矯正治療が対象とする疾患に即したグループ分けが行われており、各グループにおいて、その疾患の原因の解明、検査診断や治療法の改良を目的とした研究が行われています。その内容は、顎変形症、口唇裂・口蓋裂、先天異常疾患に関する臨床研究から、新規デバイスの開発、ゲノム、骨代謝学、生理学、疫学等に関する基礎研究にわたり極めて多彩です。

教室の沿革

・1981年1月1日
 歯科矯正学第二講座(現顎顔面矯正学分野)新設
 黒田敬之教授就任
・1999年4月1日
 大学院重点化に伴い、歯科矯正学第二講座は
 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
 顎顔面頸部機能再建学系 顎顔面機能修復学講座 顎顔面矯正学分野へと名称を変更
・2002年4月1日
 大山紀美栄教授就任 
・2007年4月1日
 森山啓司教授就任
・2018年4月1日
 大学院医歯学総合研究科における、既設の専攻の統廃合により、
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面頸部機能再建学講座 顎顔面矯正学分野へと名称を変更